平成15年6月24日
領土問題対策局
国際局


産經新聞(6/24付・朝刊)
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平成15年6月23日、中国の活動家グループと称する一団が乗り込んだ中国漁船が日本固有の領土・尖閣諸島への上陸を目論んで日本領海に入り海上保安庁の巡視船八隻が出動して退去させたとのニュースがテレビ・新聞等で報道された。(右記事参照)

  大多数の国民は、未だ懲りない中国の領海侵犯に強い怒りを覚えたというが、近年、東シナ海の尖閣諸島問題に多くの国民が強い関心に抱き始めたことは大変喜ばしいことである。 また尖閣諸島に灯台を建設して以来、25年間にわたって固有の領土を実効支配している私たちもこの度の海上保安庁の苦労と活躍には敬意を表したい。

 だか然し、中国に対する外務省の対応は相変わらず憤りを禁じえない。何故ならば、23日に中国漁船が尖閣諸島周辺海域に来るという情報を外務省は前日の22日に把握しており、北京の日本大使館を通じて中国政府に懸念を伝えていたというが、中国外務省の孔泉外務官は中国の活動家が尖閣諸島魚釣島に上陸しようとしたことに対して、「釣魚島とそれに付属する島嶼は古来中国固有の領土で、争いの余地なく主権をもっている。中国の領土を侵そうとするいかなるたくらみも成功しえない」と強弁している。ならば、中国の活動家グループの領海侵犯行為は、一民間人の行為ではなく中国の国家ぐるみという国際犯罪ではないのか。なぜ外務省はそのことを毅然と主張できないのか。

 更には、23日に中国漁船が尖閣諸島海域に来ることが判っていながら、何故海上保安庁は、例え一時たりとも中国漁船の領海侵犯を許してしまったのかということだ。

 ここで私たちは言いたい!

 私たちは昭和53年に同諸島魚釣島に灯台を建設、爾来25年にわたって同諸島の実効支配を続けているが、その発端は同年8月12日に日中平和友好条約調印が決まっていながら、中国がその4ヵ月前の4月に機関銃で武装した百数十隻の中国漁船が日本固有の領土である尖閣諸島周辺に送り込みわが国に威嚇行動を行なうという重大事件が起ったことにある。だか当時の政府は中国の武装漁船団に何の抵抗もできず、ひたすら北京政府に漁船退去を打電するに過ぎないという醜態を世界に曝け出したのである。中国の武装漁船団は約1週間ほど同島周辺で威嚇行動を続けて退去したが、この事件は翌年わが国を訪れたトウ小平副首相(当時)の「コノ世代ノ人ハ知恵ガ足リナイ」「次ノ世代ノ人二任セヨウ」という棚上げ論を持ち出すことによって、尖閣諸島の領有権が如何にも中国にもあるかのような既成事実を作り上げられて今日に至っているのだが、このような中国の威嚇行動と、それに対するわが国政府の弱腰外交に危機感を抱いた民族派陣営は決死の覚悟で尖閣諸島に上陸、尖閣諸島は日本固有の領土であることを主張したのである。この上陸決死隊というべき民族派の行動の一端に日本青年社も位置を占めていたが、日本青年社は更に明確に領有権を主張するために、魚釣島に灯台を建設して領土の実効支配を開始したが、この25年間、灯台の保守点検作業が順風満帆に行なわれてきた訳ではない。というのは、外務省は常に中国に気兼ねし内政干渉を恐れるかのように、事あるごとに私たちの渡島を妨害してきたのである。

 こられの経緯については、今年2月3日付、産経新聞の「日本」において石原都知事が「海図に載らない灯台」と題して尖閣諸島問題に強く言及し(当HP2/4記事参照) 「25年前に日本青年社が建設した灯台は、運輸省の指導に基づいて完成されたものであり、既に正式灯台の資格を充分に備えているのに外務省は支那の内政干渉を恐れて未だに灯台を認知していない」と国民に向けて厳しく訴えているが、正に正論である。

 日本は主権ある独立国家である、外務省が尖閣諸島は日本固有の領土だと明言するなら、何故中国に堂々はそのことを主張できないのか。
(「日本外務省の尖閣諸島における基本見解」参照

 また、中国は、民間団体である活動家グループが日本固有の領土・尖閣諸島の上陸を目論むことを国家ぐるみで認めているのに、外務省は、私たち日本国民が尖閣諸島実効支配に関して、何故中国の顔色を見ながら言い訳をするような軟弱外交に終始しなければならないのか。

 それだけではない、中国は現在、日本領海内である東シナ海に海底石油の採掘施設を建設し、作業員90人が生活する居住区を作りヘリポートまで併設し、生産する石油と天然ガスをパイプラインで上海に送っているのである。このような事実を何故政府は黙認するのか。

 今こそ、政府が毅然とした態度で対中外交に臨まぬ限り、日本固有の領土・尖閣諸島上陸を目論む中国・台湾の領海侵犯事件はますます激化し、いずれわが国家主権を脅かされる事態が起こることも充分ありうるのだろう。

 再度訴える!

 尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも疑いのない事実であり、外務省見解もそれを明確に認めている。また今年1月1日の読売新聞記事(当HP1/24記事参照)にあるように、政府が尖閣諸島の地権者と賃貸契約まで結んでいる事実こそ何をか況んやであろう。

《尖閣諸島5島の住所》

 南小島……・石垣市字登野城2390番地(民有地)
 北小島……・石垣市字登野城2391番地(民有地)
 魚釣島……・石垣市字登野城2392番地(民有地)
 久場島……・石垣市字登野城2393番地(民有地)
 大正島……・石垣市字登野城2394番地(国有地・大蔵省)