安倍総理の訪ロに対し、日本青年社は勇気ある政治的決断を望む!

平成25年5月7日


 ロシアを訪問した安倍晋三首相は、4月29午後、プーチン大統領とモスクワ市内のクレムリンで会談し、共同声明を発表、焦点の北方領土問題について「交渉を加速させる」とし、停滞していた平和条約交渉を再開させた。


 
ここで最大のポイントは「双方に受け入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させるとの指示を外務省に共同で与える」とし「両首脳の議論を付すため」と特記し、両首脳が交渉を主導する姿勢を明らかにしたことである。


  安倍首相の今回の訪ロは接点の見いだせない事務レベル交渉に見切りをつけ、トップ外交で突破口を開き、「共同声明」により具体的道筋をつけた意義は非常に大きなものであり、北方領土返還を願う多くの国民に希望を与えたのであった。




  日本青年社は平成21年3月、当時行き詰まり、一歩も前進する事のない返還交渉の突破口を開く為、大いなる決断の下、ロシア訪問に踏み切ったのであった。民族派団体である日本青年社がロシア訪問を行う事は様々な意味で物議を醸したのだ。


 戦後の世界情勢を考えるとソ連という国の存在を抜きにして世界を語ることは出来ないであろう。スターリンに指導されたソ連は、民族解放の名の下に全世界を共産主義国家にする為、全ての自由主義国家に戦争を仕掛け侵略をくり返していたのである。このような侵略国家、共産主義国家の盟主、ソ連に対し、民族派が対立し、反ソ連の戦いを行った事は、正義であり、現在に於いても何ら否定されるべきものではない。北方領土返還運動は自然に「反共運動」「反ソ連」の運動として展開され、領土奪還という日本国民の民族意識が組織化し、反共思想のプロパガンダと化していった。この運動を展開した民族派団体の中で日本青年社の存在は圧倒的であり、毎年2月7日に行われた「北方領土奪還全国統一行動」は1500名余りの同志による徒歩デモとして展開され、ソ連大使館前は抗議の人々で埋め尽くされた。更にソ連がアフガニスタン侵攻を開始したことを受け、日本青年社はムジャヒデンとの連帯の下、現地に決死隊を送り、銃を持ってソ連軍との戦闘を展開したのであった。このようなソ連と真っ向から対立し、最も過激に闘い抜いた組織が日本青年社であった。時代の波はソ連を崩壊に導き、新生ロシアが誕生した。ロシアはソ連邦支配下の多くの国々を手離さざるを得なかった。この時こそ北方領土の返還の絶好機であったのであるが、我が政府はそれを逸してしまった。我々民族派も領土返還に対し明確な方針を持っているとは言えなかった。ただ長い間の領土返還運動の実績により、運動の最右翼に位置づけられてはいた。

 
 日本青年社は時代の変動の中で改革を遂げつつあった。それは「右翼・民族派改革元年」と名付けられ、独りよがりの右翼から脱却し、国民大衆の支援の下に本当の意味での国益を求める運動に転換したのであった。そのような状況の日本青年社に対し、ロシア訪問の打診がロシア政府から行われたのだ。従来の「右翼」の立場からは拒否の答えしか有り得なかったのであろうが、本当の国益を考えるならば違った道がある筈だと考え、内部討議を重ねた。我々民族派が行ってきた過去の運動が少しでも北方領土返還に役立ってきたのか、北方領土と隣接する、北海道の人々はどう考えているのか、「四島一括返還」を主張するだけで交渉は進展するのか、日本の主権はどのようにしたら守れるのか、様々な問題の討議を重ね、最終的に一つの結論に達したのである。それは「行き詰まった領土問題の突破口を開くため、日本青年社はロシアを訪問し、政府高官、要人と胸襟を開いた会談を行い、日本人の気持ちを直接伝える」というものであった。更に日本青年社はロシア国民と日本国民の友好な関係を築くために民間人の立場から「日露友好協会」を創るという方針であった。このことは「ロシア訪問に対しての日本青年社の正義とその決意」としてまとめられた。その中で「我々はルビコン川を渡った」と従来の方針から大変換を表現したのである。

 日本青年社のロシア訪問はテレビ、週刊誌などに取り上げられ、多くの人々に微妙な変化を与えた。「四島一括返還」以外の主張はタブーとされてきたが「二島先行返還」などが堂々と主張されるようになった。かつて政府間では日本側から択捉島の北部に国境線を引き、当面はロシアの施政権を認めるという提案もされ(川奈会談)た事もあった。これなどは現在言われている「面積二等分」に非常に近いものである。今回、安倍・プーチン会談で確認された「双方に受け入れ可能な解決策を作成する」という基本的立場を尊重する事こそ最も重要な事であり、これこそ日本青年社がロシア訪問で訴え、望んだ事なのである。

 
 現在ロシアの抱えている問題は、最大の収入源である天然ガスの輸出先の確保にある。アメリカのシェールガス開発により対ヨーロッパへの天然ガス輸出の道が塞がれ、東アジアへの輸出に国の命運がかけられている。ロシアにとって日本の技術と販路は必須条件であり、両国のトゲ(領土問題)は早急にとり除かなければならない焦眉の課題なのだ。更に中国に対する共同戦線も重要な問題になっている。日本にとっても原子力発電が停止している中でエネルギー確保は最重要課題だ、尖閣問題で対立している中国の対し、ロシアとの共同戦線は重要になる。双方にとって平和条約を結び友好関係を築く事は共通の利益になるのである。領土問題に限って考えても68年のソ連―ロシアの実効支配は国際法上強力なものになっている。現在のこのチャンスを逃す事になれば、時間は確実にロシアの有利を示すであろう。

 
 我々は今回の安倍・プーチン会談によって達成された日露共同宣言を大いに歓迎し、その路線の下での安倍総理の勇気ある決断を望むものである。日本青年社は全力でその決断の実現を目指す事を宣言する。


【 平成21年3月、ロシア訪問についての記事

日本青年社ロシア訪問団・帰国報告
ロシア訪問に関しての御報告
ロシア訪問に関する日本青年社の意義説明
新時代を拓くロシア訪問に関して-日本青年社の総意に基づく意見・要望-
ロシア訪問に対しての日本青年社の正義とその決意