平成16年05月12日


 現在、株式会社立の病院は67あるが、それは会社の福利厚生の一環として従業員のための医療施設として設立されたもので、その後地域の要請や必要性から周辺住民へと開放され、今日に至っているものであり、歴史的背景からも、その存在は否定されるのではないと思われる。従って、現在利用されている新たな株式会社参入とは入り口が大きく異なっているものだと言える。小泉総理が考えている株式会社参入病院とは一体どんなものなのかここで明らかにしたいと考える。


1.
自由診療による健康保険が使えない、高度な医療を提供する病院が第一の特色である。

2. 従って、現在の67の株式会社立病院とは全く異なったものである。

3. 富裕な人間しか入れない病院であることだ。


 具体的には、現在行われている心臓手術のためにアメリカに渡航して日本に帰国する場合、数千万円の費用がかかる。これらを日本で賄おうとしていることである。それは同時に、高度な医療技術を必要とするため、有能な医師が集中することにもなる。かてて加えて、現在の医療制度の根幹である健康保険が根底から崩壊する可能性が極めて高いことを意味する。


我々はアメリカの医療制度を断固として拒否する。

 現在のアメリカの医療制度は、健康保険制度がないため、自由診療である。例えば、救急車で運ばれるとき、救急隊はその人が持っているカードを見て病院の選別をするのである。つまり、日本で言えば、慶応病院や東京女子医科大学病院の前で倒れても、そこに担当医がいたとしても、診療をできることができないことを意味している。そんなことがあっては伝統的な日本社会が根底から崩れることを意味し、歴史が深くないアメリカに日本がさらに吸収されることにもなる。こんなことを民族派右翼として許せるわけがない。アメリカの悪い点を見習うことは何の役にも立たないのだ。


医療は、「社会共通資本」として保障されるべきものなのだ。

 憲法第25条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と謳われるとおり、健康維持回復のために医療を受ける権利はすべての国民に保証されている。居住地や金銭の差で享受できるサービスが変わる恐れのある株式会社の医療経営参入は、断固阻止されるべきである。「守るべきもの」は必要な医療を公平に受けることができる「社会共通資本」としての医療であると考える。

株式会社参入の特区は特区で終わらない。

 今回特区で認められることとなった自由医療分野への株式会社の病院経営参入は、提案があった地域だけの問題でなく、4月から始まる申請受付の際に手を挙げて認められれば、次々に特区という名の下に各地で株式会社の病院経営が行われる可能性がある。気がつけば周りがすべて「特区」で株式会社の病院経営が行われている状況もあり得ない話ではない。

 再度我々は主張する。このような貧富の差によって病院が区分けされるとすれば、国民健康保険制度は根底から覆ることになる。多くの人々が保険会社と契約を結ぶことは自明なことであり、保険会社が設けることは必然性を持つことになる。この資金の一部が政治資金としてどこへ行くかも私たちの経験上明らかなことである。このような重大なことを我々は見過ごしてはいけない。一部の者が大儲けし、ほくそえんでいる姿が目に浮かぶというものだ。断じて許すことはできない。我々は断固として主張する。株式会社の病院参入には断固として反対である。医療制度は日本国民の存在を左右するものであり、許すべきものではない。