医療・病院・老人施設をもっと理解しよう

 

平成13年7月16日
総本部厚生委員長 渡辺 光行

 標題の件について、日本青年社や一般人の人は良く知らないのではないだろうか。

(1)
 病院について、現在4つに分類される。これまで病院の区分は、一般、結核、ハンセン病というように病棟で分類されていたが、これまでは大多数が一般病棟であり、入院用ベット数20以上が「病院」、19床以下が「診療所」ち2つに分類されていただけ。厚生労働省(厚生省)は現在患者の実態に即して病院を4つに分類し、従来の治療を担当する「一般病院」と成人病、老人病など3ヶ月以上の長期入院を中心とする「療養型病床群」それから「精神病院」の他に新たに高度先端医療に対応する「特定機能病院」の4つに区分し、機能別に体系化した。1948年に制定された医療法は45年振りに抜本的に改正され1993年に施行された。


(2)
 この中で新しい「療養型病床群」について若干説明しよう。
 この「病院」は主に高齢者の長期入院患者の増加に対応するため、3ヶ月以上の長期入院者のための居住性を高め一定の基準を満たした病院・病棟を指す。
 この病院は1病棟あたり、4床以下とし、1人あたりの病床面積を6.4平方メートル、床下幅は1.8メートルを確保するとともに機能訓練室、食堂、談話室、浴室の設置義務がある。また、一般病院・病棟よりも医師・看護婦が少なくてもよい分、患者6人に対して1人以上の介護職と同等以上の介護補助者の配置が必要である。97年現在全国に717施設、5万6522床ある。平均在院入院数は212.5日、介護保険の対象ともなる。とはいえ、この保険導入時に5万人にものぼる特別養護老人ホームの待機者に対し、緊急避難型に病院を転向させ、数の帳尻合わせをしていると非難の声も大きい。


(3)
 次に社会保険診療報酬明細書(通称、レセプト)について考えてみよう。
健康保険でかかる医療費は患者の一部負担金を除き、あとは医療機関が月に一回かかった残りの医療費をレセプトとして各都道府県にある「診療報酬支払機金」に請求し、支払いを受けることになる。だが、このレセプトに書かれた診療内容や金額については当の患者は全く知らないため、しばしば医療機関の不正請求が発生する。現在では医療機関は患者に開示を原則することを認めることになっているが、医療機関、患者とも無頓着な傾向にある。
 同時に、このレセプトは一般病院の入院について、入院した場合は在院日数によって暫時低減することになっている。つまり病院によって新しい患者は歓迎するが長期入院患者は不要(極端にいえば)になってしまう。ここに患者のタライ回し現象が起きることにもなる。患者の回転が早ければ一般病棟の経営に貢献する、という意味でもある。

(4)
 有料老健センター、特別養護老人ホーム、これらの施設は病院どころか施設によって千差万別であり、「待ち」が多いため老人の選択権は極めて限られている。
 これらの施設の問題は、精神病院にしか許されていない、拘束という名の縛りが多く見られることだ。精神病院でもこの縛りのためPTSD(心外傷後遺症)が派生していることから問題になっているが老人だからといってこうした行為は許されない。
 こうした施設に一歩足を踏み込むと豪華なホテルを想起させるが、その中味を見ることができないため、こうした事象が派生する。同時にこうしたことは、この間の特定機能病院、一般病院に見られる医療ミスを重ね合わせると、医療従事者にモラルハザード(倫理観の欠如)が浸透しているのではないかと疑わざるをえない。関係者の猛省を促したい。

(5)
 医療・福祉問題は多岐にわたり、介護保険導入、高齢化社会の中で、より重視されなければならない問題であり、広く深く今後とも扱っていきたい、と考えている。
 今回は「序」として読んで頂きたい。次回は高度医療、臓器移植問題を扱いたい、と考えている。