中国の中華思想を排す



平成17年10月20日
南関東管区長兼風神会代表
高 橋 秀 夫


中華思想むき出しの温家宝提案


 中国の温家宝首相は今年(平成十七年)第十回全国人民代表人民大会(わが国の国会にあたる)後の記者会見で、中断している日中首脳相互訪問の環境作りをはじめ、日朝関係改善を目指す「3つの提案」をはじめ提起しました。た。それによると「日中関係は最も重要な2国間関係」と強調し、

(1)首脳相互訪問促進に向けての環境作り
(2)日中外交当局による友好強化のための戦略的研究
(3)歴史問題の適切な処理

を挙げています。温首相はさらに、「日中間の主要な障害は政治面にある。根本的な問題は、日本が歴史問題を正しく対処するかだ」と言明しました。関係改善の障害になっているのは、自分達でなくて、歴史問題での日本政府の対応だと言わんばかりの調子です。

 現在、日中間には、東シナ海での一方的な海洋資源開発、意図的な「反日」宣伝・教育など、あまりに中国側の自己主張が強く、心ある日本人の間に強い不満が高まりつつあります。温首相はさらに、今年(平成十七年)が「日中人民抗日戦争勝利六〇周年」に当たる(われわれからすれば敗戦六〇年ですが)ことにも触れて、「日本も、この機会をとらえ、日中友好を促進するように希望する」と述べていました。何と言う傲慢な態度でしょうか。かてて加えて、日中関係改善のための「三原則」なるものを初めて提示し、

(1)歴史の鑑(かがみ)として未来に向う
(2)「一つの中国の原則を堅持する
(3)特に経済分野などの協力を強化して中日両国が共同発展する

とすら得々と挙げているのです。

 この「三つの提案」、「三つの原則」は、歴史問題でわが国に注文を突き付ながら、実務面での関係は進展させたいとの、まったくもっての自分勝手な対日方針に基づくもので、自分の国が世界の中心であるとの「中華思想」をむき出しにしたものです。

 昔から、中国の政治は一流などと言われますが、自己の責任には眼を瞑り、敵対国家には厳しく批判することには躊躇しない姿勢は相変わらずです。


軍事中華路線をひた走る中国

 中国に関しては、もう一つ大きな問題があります。

 中国の国防費は政府発表のものだけでも十年連続で前年度比二ケタの伸び率を示していることです。中国側ではこれを「積極的な防衛」などと言っているようですが、問題は単に国防費増加というところにあるのではありません。そうでなくて、彼等がそういう路線をとる背後には、病的なまでの「中華思想」があるからです。 北京のテレビを見ていると、「偉大なる中国」、「偉大なる中央」といった言葉が毎日出てきます。北朝鮮の国営放送と間違いそうな、これらの言辞は、社会主義体制に特有のものでもありますが、今や、中国と北朝鮮だけが、こうした馬鹿げた大仰な言葉を弄して、自分達の独裁体制の醜さを「人民専制」などと言い換えることに必死になっています。 中国の防衛力はすでにわが国を数十回徹底的に破壊しえる量の核兵器を保持しているのであり、今更防衛費の伸びがどうこう言っても仕方がありません。

  私達が考えるべきは、それを保持している国が、かつてのソ連と同じ「人民専制」を標榜しながら、わが国民の血税から膨大な経済援助をもらいつつ、ロシアから最新鋭の戦闘機や最新型の潜水艦を買い入れ、さらには明らかに侵略を目的とする航空母艦の自力達成すらも検討していることなのです。つい最近では、旧ソ連から御用済みとなった航空母艦を購入する話しがありました。この空母を民用の船上ホテルや船上レストランとして使うなどと言っているようだが、誰がそのような話を信じましょう。恐らくその廃品空母は、彼等が本格的な空母を持ったときに備え、戦闘機の着艦、発艦訓練に使うことになるでしょう。現に彼等は、大連に空母機能を備えた基地をつくり、発着艦訓練をしています。第一次大戦後のドイツが軍備を禁じられていた時、革命直後のソ連で、ソヴィエト空軍に技術指導を行うという名目で着々と軍備を増強していた故事を思い起こさせる話です。

 こうしたことから、やがて黄海のみならず日本海も東シナ海も、それに日本列島の東になる太平洋も彼等の行動範囲に入ることを、私達は十分留意しなければなりません。核兵器を保有している国が社会主義国家であり、しかも中華思想、すなわち覇権主義思想の保持者であることに私達は留意しなければなりません。わが国国民が枕を高くして寝られるようになるためには、彼等の中華的性質をいかに改めさせるかというところに、外交政策や歴史政策の重点を置かねばならないでしょう。それこそ中国の改革への協力であり、世界の平和にもつながるのではないでしょうか。


真の友人になるためには中華思想から脱せよ

 インターネットのホームページに黄文雄教授の「中国が嫌われる七つの理由」という文書が出ていました。それによると、中国が嫌われる理由とは、

1、自己中心的な国民性
2、何事も自私自利の「ご都合主義」である。
3、独善的である。悪いのはすべて他人。
4、責任転嫁がうまく、自己絶対無謬の独善意識。
5、他人不信、他人を欺くのは善である。
6、上匪の多い国。国内の犯罪の手口を国外でも使う。つまり犯罪の輸出。
7、「友好」とは他を卑下した勝手な自己基準であって、平等の基準ではない。

だそうです。これは私達が日常的に経験する中国人の特徴をなかなかうまく言い当てています。

 彼等にとって他人とは自分を利するために存在あり、これを大きく広げれば、地球=その他の国々は、大中華=中国を中心とするということになります。

 つい先日のアジア選手権サッカー大会では、わが国に対する、あまりに非礼な反日行動が目立ちました。六千年の歴史を持つ中国は、王朝交代のときは前王朝を完全に抹殺し、焚書坑儒をし、父母の恨みを晴らすため仇敵の墓を暴き死体に鞭打つことが普通に行われてきました。最近でも天安門事件では自国民を圧殺することを躊躇しなかった民族です。目的のためには手段を選ばず、情報作戦や反問など裏に表に謀略を駆使してきました。

 それは自国民に向くこともあれば、周辺の他国民に向くこともあるのです。今回の反日行動は、これが裏目に出ました。

 世界各国から北京五輪開催にも疑問が投げかけられましたが、これが決して偶然の出来事でないことを私達は知るべきです。

 中華思想というのは、被害アジアの覇権を握り、他民族を南蛮夷狄として蔑視する思想です。この歴史的他民族蔑視観にとらわれている中国は、自分と同等の他民族や国家を認めることができません。だから、北朝鮮の金正日が北京に朝貢外交と同じような訪問をし、中国の庇護下にあるような行動を取っているのです。これに追従する韓国の一般大衆も、中華思想のくびきの中で反日行動を取っています。中国や韓民族は、決して対等な国際関係を、特に東アジアでは取ることはありません。中華思想や中国及び北朝鮮・韓国が真の友人に成るということは幻想でしかありません。

 私達は祖父の努力やご苦労や将来の日本を思い戦争で亡くなられた方々の慰霊に対して衷心から感謝と御礼の言葉をかけることに、何故、中国は執拗に反対を言い続けるのでしょう。死者に鞭打つ行動は我ら日本人には考えられない行動です。中国が中華思想のくびきから逃れられない国家・民族から脱却しない限り、真の友人になることはできません。


WTOを戦場化しようと企む中国

 さらにもう一つ、中国の「中華」的な態度を印象付けることがあります。

 それは中国の方からWTO加盟を強力に求めたということです。WTOとは国際間で決められたルールで自由競争を行うことが基本ですが、これだけを見ると中国もとうとう自由主義陣営に下ったと思うかもしれません。しかしはじめから「自由」というルールが存在しない国がWTOに加盟するからといって、私達と同じルールで競争を行っていくことができるのでしょうか?勝手にルールを無視したりルールを変えたりすることになって、WTOが混乱するだけでしょうか?むしろ彼等は「自由競争」の名の下に、WTOを「貿易競争」の場にしていくようになるはずです。これは決して「最悪の予想」ではなくて、これまでの中国のやり方を見ていれば、極く当然の成り行きでしょう。世界の覇権を求めて「中華」的に行動するのですから、自由競争でなくて、「他国から技術を学び、他国より強大になり、最終的には他国を制覇する」、つまりWTOを戦場化することこそ、彼等の目的なのです。WTOに加盟してもなりふり構わず猛突猛進するのみであって、友好・互益は頭の片隅にもないことは明らかです。

 WTOに加盟したら中国市場が開放されると思うのは幻想にすぎません。中国は自国の利益になることしかやりません。例えば、十億の人口を持つ国だから、十億足の靴を買うと思うのは早計です。中国は十億足の靴を買わずに、数千の靴会社を設備投資するよう、国外会社に要求するでしょう。そうして国内用に十億足の靴を作ったあとは、百億足の靴を売り出して、国外会社を破産させるでしょう。これは今まで中国に進出してきたわが国の多くの企業が既に経験してきたことです。にも関らず、わが国政府は依然として日中友好を掲げ、政治的な対立はともかく、経済的には有効が可能であるとの思い込みに囚われています。

 わが国政府や経済人も、単純に中国がモノを購買する巨大な市場と思っているようですが、中国がWTO加盟で欲しがっているのは「技術の輸入」であって「物品の輸入」ではありません。トヨタの時と同じように市場開放をエサにして各国競争で技術を輸入させるでしょう。アメとムチに踊らされた台湾政権は五〇万人以上の技術者と資金を送り込んで設備投資を行い、今では台湾本国で企業の空洞化が進んでいます。中国進出で儲けたのは一部の経済人だけで、儲けたお金は台湾に還流していません。中国側に乗っ取られて破産した中小企業は数え切れないほどあるのです。

 中国のWTOは、決して中華思想を棄てたのではなく、先端技術を導入して先進国入りし、技術と安い労賃で世界を制覇することを目標にしているのです。しかしわが国の指導者は、この中国の思惑にどのように対処すればよいのかいまだにわかっていないようですし、対中国のシナリオもできていません。官僚の中には「チャイナスクール」と称し、中国の属国のような朝貢外交的な発想しか出来ない人も少なくありません。


私達も言おう「暴支雁徴」!と

 では、この中国とどのような関係を築いていくべきでしょうか?

 第一に、中国は己が中華思想を持っていることを自覚し、過去の歴史における己の位置を知ったうえで、関係をあらたに作り直さなければなりません。戦前にわが国は中国に対して「暴支雁徴」という言葉を使いました。文字通り「横暴な中国を懲らしめる」という意味ですが、この言葉を今、かつてはわが国の領土であった台湾の人々が、中国に対して使っています。良き隣人として私達もまた、中国に向かって「暴支雁徴」と叫ぶべきではないでしょうか?

 第二は、わが国は独立国たる誇りと気概を内外に鮮明にしなければなりません。

 小泉首相が、中国の如何なる恫喝にも屈せずに靖国神社参拝を続け(もっとも今年は選挙のせいで八月十五日の参拝は諦めましたが)、中国にノコノコ出かけていかないというのは正しい姿勢です。

 戦後わが国は、主権に関して鈍感な土下座的外交が行われています。その責任は民族の誇りを喪失した与野党政治家とマスコミ、そして営利至上主義の経済界にもあります。「暴支雁徴」を有効たらしめるためには、何よりも毅然とした独立国たる態度を相手に明確にしたうえで、わが国が主導的立場に立って、アメリカ、台湾、シンガポール、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランドという海洋国家と協力体制を構築することが大切なのではないでしょうか。