内外の厳しい情勢下のもと、善隣外交に力を尽くし
日米安保同盟をさらに強化せよ!




平成17年6月20日
山形県本部長 石口 育雄

  現代、世界が日本に対して見る目が厳しいものがある。経済は一流だが、政治外交は二流、三流であるとの評価がある。こうした中で、日本は対岸の中国、韓国、ロシアとの関係が、決して良好とは言えない。こうしたことは、かつて善隣外交が叫ばれていた時代が、何となく遠くに見えて仕方がない。考えてみるに、「対岸の火事」とはよくいったもので、日本がこうした状況を放置しておけば、日米同盟にも暗い影を投げ掛ける可能性すらある。

 既に、米国は日本と中国を天秤にかけているふしがある。確かに、米国民の中には、反中国意識がかなり浸透しており、一挙に米中同盟に進むとは考えにくい。とはいえ、一九七一年の米中国交回復に見られるように、全世界を出し抜いて政治外交政策を転換する国であることを、わたしたちは見ておかなくてはならない。日本は戦前、大東亜共栄圏を主張したこともあり、「アジア共同体」を展望したこともあるように、中国も現在の驚異的な経済発展からして、中華思想でアジアを席捲する野望がないとは考えにくい。こうした中で、結論的には“日中関係”は、アジアの帰趨を決するとも言えるのだ。




既に「共同体構想」は世界に存在することを自覚しよう

 わたしたちの周知の事実として、EUが存在し、このEUにロシアまで加盟しようとしている現実がある。あまり知られてはいないが、これまた重大なことなのだが、ナフタ(NAFTA・北アメリカ、カナダ、メキシコ三カ国)の自由貿易協定が成立し、この三国はFTAA、つまり南北アメリカ自由貿易協定を結ぶ動きがいま、顕在化している。こうした中で、日本、中国という一大経済圏があるアジアにおいて、そのような構想がまったく語られていないことは、中国や日本は世界の中で孤立する可能性を秘めていると言わざるを得ない。先にも述べたように、一部勢力による反日運動に目を奪われている状況でないことも、このことから明らかである。

 わたしたち日本人は経済で一流であっても、世界の動きにはまったく無知であると言わざるを得ない。こんなことでは、聖徳太子が言った「日の出ずる国から日の没する国」との隋に対する親書は逆に「日の出ずる国から沈没したままの日本丸」とならないとは限らない。確かに孤島である日本は、不利な状況にあるが、イギリスのロンドンは今でも、ニューヨークと並ぶ一大金融市場都市であることを見れば、日本は早急に「島国根性」を棄て、アジアの金融市場としての確固たる地位を固めなければならないことは喫緊の課題なのだ。小異に拘り、大同を見なければ二一世紀の展望は切り開かれないと知るべきだ。


●経済大国日本を、あくまで守るべきだ

 アメリカという巨大市場があっても、経済面から見れば、中国、ロシアの市場は何としても日本にとって魅力的な国である。既に、貿易高では日米間よりは日中間が凌いでおり(中国にとっては、その貿易高においては仏蘭西が第一であるが)、日露間はかなり下回っている現実がある。先月号でわたしたちが主張したように、より南アジアに目を向け、豪州に目を向け、各民族、国家を忖度し、アジアの平和を希求するものでなければならない。アジアで対立する時代は終焉したと宣言し、この経済的な諸関係を政治に転化する時代に入っていることを知るべきなのだ。そこに、文字通り”小異を捨て大同につく”ことが大切であることを日本国民に浸透させることが民族派の任務として与えられていると、わたしたちは宣明する。


● 日米同盟の更なる強化を


 わたしたちの背後には、中国、ロシアという大国が存在している。日本国憲法があろうがなかろうが、この大国に軍事的に打ち克つことは、日米同盟の強化なしには考えられない。それは、現在の日本が採っている米国追随政策ではなく、世界の安全保障という視点から対等に接し、石原慎太郎が言ったように、「NOと言える日本」が、いまこそ問われているのだ。アメリカの言う通りにしていれば、アメリカは日本を助けてくれると思ったら大間違いだ。背後に大国二国が存在することをアメリカに知らせる政策をとってこそ、日米対等は実現されると言うべきなのだ。

 こうして初めて日米同盟が真の意味で機能すると言うべきであろう。アメリカの指示に従っていれば、米国は助けてくれるなんてことは、世界情勢を知らな過ぎる。わたしたちの常識を転覆することによって真の意味での日本が世界に知られることにもなる。それ抜きに国連の「安全保障常任理事国」入りは土台、無理というものである。韓国が反対していることは理解できるが、米国がこのことに沈黙していることは、わたしたちは知らな過ぎるのだ。

 世界は4つから5つの大ブロック化傾向にある中で、アジア各国は対立する時は対立しながら、すぐ冷却期間を設け、相互互恵の立場をとることが大切なのだ。こうした道を選ぶなら、米国の日本を見る目も変わり、日米同盟が真に機能することにもつながるというものだ。このことは、日米安保が真に機能するということから、世界が日本を見る目が大きく変わり、アジアの「ロンドン」として見られることでもある。

 わたしたちの未来を決定するのは政治、外交、経済にほかならない。政治外交をアメリカ追随でいては“金満日本”として見られている限りでは、世界から孤立するほかないということを知るべきだ。つまり、日米同盟の強化とは、こういう日本の主体を世界に見せつけることによって、強化されるのであり、アメリカに従っていれば(ぶらさがっていれば)良しとすることは、追放されなければいけない時が来ているのだ。

 こうして日米同盟は強化されることはあっても、弱化されることはあり得ないのであり、日本青年社がより広く世の中に認知されることも、こうした独自な視点を持って初めて可能なことなのだ。