平成16年6月16日


  劣化ウランといっても容易に理解できるものではないから、その説明から入ることにする。


  劣化ウランは、天然ウランから核燃料になる濃縮ウランを作るときに副生する。濃縮ウランを取り出した後、ウラン235が〇・七パーセントより少ないものが残る。これが劣化ウランである。比重が19で重いため戦車砲や戦闘機・戦艦の重い機関砲に利用すると貫通力が増す。旧ユーゴスラビアのPKOに参加した兵士たちに体調不良が拡がりバルカン症候群と呼ばれた。癌や白血病を発症する場合もあり、劣化ウランとの因果関係が疑われた。そうした中で、国連環境計画は昨年三月「健康リスクはほとんどない」と発表した。しかし、劣化ウラン弾が貫通すると発電して微小な粉塵となって環境中に飛散する。九一年の湾岸戦争で初めて大量使用され、イラク兵士や民間人に放射能が原因と見られる健康被害が発生し同時に参戦した米軍兵士にも同様の変化が出て多くの論議を呼び起こした。


 この劣化ウラン弾が今回のイラク戦争で米英のイラク攻撃で対量に使用されたという。だからバクダッドは今でも劣化ウランの環境下に置かれている。


 私たちは広島、長崎、福竜丸で原水爆の被害を被った唯一の国である。米軍が劣化ウランを使用することにナーバスになるのは当然なことなのだ。だから、昨年の国連の調査が問題ないといってもバルカン症候群と呼ばれたように、現実に被害が生じている。このことを私たちは重視しなければならない。我々は米英に強く抗議する。このような兵器を二度と使用するなと、強く主張する。他の劣化ウラン弾を持っている国も肝に銘じて欲しいものだ。


 ウランの半減期はプルトニウムに比べれば早いが、そう容易に浄化されるものではない。バクダッドは数十年以上の単位でもって劣化ウラン弾の汚染を余儀なくされているのである。


 米国はどこどこの国に大量破壊兵器があるというが、実は米国が圧倒的に大量破壊兵器を所有しているのである。世界は米国の攻撃に畏れを抱いているのである。確かに現在の米国は強い。それは外向きであり、内部を見ればカオスそのものである。そのことに目を向けないで内部の団結を図るために米国民の目を外に向けることは許されることではない。


 米国支配層に私たちは一言いう。「武器よさらば」(ヘミングウェイ)