日本民族の気概を世界に示せ
イラク自衛隊派遣を憲法改正の突破口に!!

平成16年3月11日

 国論を二分する中でイラクへの自衛隊派遣が行われた。国家としての理念、意思、精神が試されている今回の派遣は大東亜戦争の敗戦によって世界に対し口を塞ぎ続けてきた日本が、戦後初めて自らの意思を表明する事が出来た歴史的快挙である。民主主義国家の主人公である国民は党派・政策的立場を越えて同胞的団結を強め、赴く自衛隊員に対し敬意と感謝をもたなくてはならない。



イラクの復興は日本にとってなぜ必要か

 日本がイラクへの人道・復興支援の為に自衛隊を派遣しなければならない理由は様々あるが、第一に「テロとの闘い」であると言えよう。現在イラクで展開されているものは、正規軍の戦闘ではなくアルカイダやフセイン残党による無差別テロである。当初はアメリカ軍を狙っての自爆テロが中心であったが、最近ではイラク国民を狙った無差別テロに変わりつつある。

 テロリストたちの目的はイラクの混乱であり、イラクの復興の妨害である。イラク再興はフセイン無き現在、イラク国民自身による暫定政権の樹立にある事は自明の理であるが、これへの妨害を目的としてテロを行っているのだ。それ故自衛隊派遣の第一の目的は「テロとの闘い」にあると言えよう。しかし自衛隊は治安維持活動を直接行う任務を持っている訳ではない。あくまで人道復興支援を行う為に派遣されたのだ。アナン国連事務総長が先日来日し、日本の自衛隊派遣を大いに評価し、小泉総理にお礼を言った。この事は国際社会がイラク復興の一日も早い実現を願っている事を示している証左でもある。


テロとの戦いは国際社会の共通の任務であることを我々は再確認しなければならない。



 先日判決が下ったオウム真理教の麻原は二十七人の日本人を殺し、アルカイダはニューヨークで二十四人の日本人を殺した。テロとの戦いは、好むと好まざるとにかかわらず日本にとって重大な国策になっているのだ。フランス、ドイツ、ロシアの非協力政策に共鳴する一部の人々がいるが、これらの国々が「平和主義」に基づいていないことはアフガニスタンに於ける彼等の行動を見れば明らかであり、独自の国益の主張をしているに過ぎないのだ。

 次に今回の派遣の重要性は日本自身の安全保障と密接にかかわっている「北朝鮮の脅威」にある。日本国民の誰もが感じ、今回の政府決定に対し、反対らしい反対も無かった最大の根拠は日米同盟の必要性を認めたからに外ならない。日本は米軍の助けなくしては、最大の脅威である北朝鮮の情報を何ひとつ入手することができない。「H2A」ロケットの打ち上げ失敗により、ますます独自入手の手段は遠のいてしまった。ノドン、テポドンミサイルを迎撃する「ミサイル防衛」もアメリカの全面協力なしには不可能だ。自国の防衛を同盟国アメリカに頼る以外に、道のない情けない現実を直視し、現在を生き抜かなくてはならない。言うまでもなく自主防衛体制を一日も早く築き、自分の力で自国を守り切る事の重要性を、国民一人一人が自覚し、憲法を改正してゆく事が最大課題であるが、現実のきびしさを直視する事も重要である。

 「対米追随」という批判は多くの場合、無責任な「平和主義」からうまれるが、中には日本の未来を真剣に考える人々の中からも生まれることもある。同盟国のいうことは、何から何まで聞かなければならないということはないが、隣国からの脅威が自国の死活的脅威である現実を無視しては、国益的立場とはいえないだろう。

 丁度百年前、日本は超大国ロシアと日露戦争を戦った。日本はもう一つの超大国イギリスと日英同盟を結んでいた。英国は日本に対し軍事的支援はしなかったが、情報を流し国債を買ってくれた。日英同盟は対等な立場の同盟ではなかったが日露戦争勝利の一因にはなった。

 このあと第一次世界大戦が行われ日本は日英同盟に基づいてアジア各地に出兵し勝利した。しかし英国は欧州でドイツ軍に攻められ苦境になるや日本に艦船や陸兵の欧州派遣を求めた。日本は渋々駆逐艦数隻を出したが陸軍師団の派遣要請に対しては、拒み続けついに派遣しなかった。この背景には国内世論が反対一色になり、「大義なき戦争に日本男児の血を流すな」等の声が大きくなった事によるが、丁度今回のイラク派遣と同じような議論が展開された。英国は日本との亀裂をドイツに気取られぬよう平静を保ち日本の優柔不断を見守った。この時英国は日本を見捨てる事を決意し戦争が終わったら日英同盟を解消する方針を固めた。ワシントン軍縮会議に於いてアメリカの提案を受ける形でイギリスはそれを実行し、日本は孤立の道を歩むことになる。

 歴史に「もし」はないが欧州派遣をしていれば日英同盟の解消はなかったと思われる。そうならばアメリカの日本攻撃はイギリスとの対立を生み、日米開戦は避ける事ができたかも知れない。昭和二十年の敗戦を日本の破局と見るならば、その遠因は日英同盟の解消にあるという事ができる。このように同盟の重大さを認識し、国際社会の一員として認知される事が第二の目的であろう。


日本民族の気概は武士道精神

 二月末に陸上自衛隊の本隊がサマワに到着した。その時の隊長の言葉こそイラク派遣の日本の目的をはっきりと表明したものであった。「我々は武士道の国からイラク復興の支援のためにここに来た…」、国際社会の中で悔りを受ける事は、その国の未来を無くすに等しい事であり決してされてはならない事である。自衛隊員の方々がそのことを良く自覚して、赴いている事がよく判るあいさつであった。日本の指導者たちが戦後何度となく国際社会で笑い者になり「弱虫」「腰抜け」と見られ続け、外交上も常に相手と対等な対応ができずに、屈辱外交しかできなかった日本を再生する絶好の機会である。

 戦後日本はかっての「勇敢な日本」「雄々しい日本」という過去のイメージによって支えられ、近隣諸国からは軍隊をもっていなくても「侵略国」とみられて恐れられてきた。しかし最近では「文句を言えばいいなりになり金を出す」国として認識されてしまった。この事は安全保障の面からも大問題で、今回の派遣は日本への世界各国の対応を変えさせる意味で第三の目的ということができる。


イラク自衛隊派遣を憲法改正の突破口に

 民主党菅直人代表は、イラクへの自衛隊派遣は憲法違反であると国会で小泉首相を追及した。民主党内部でもあまり賛同を得られずに、社民党からの声援だけに終わってしまった感があったが、法律論だけでいえば正当性はあったと思われる。もはや憲法解釈は臨界点を示し、国家としての機能が憲法によって阻害されている憲法の末期症状を示している。

 すでに自民党、民主党、そして公明党までが憲法改正を唱え出した。我々民族派が訴え続けてきた憲法改正が、ついに国民大衆の声として大きなうねりを作り出した。この流れを更に大きく強くする為に全力を尽くさなくてはならない。日本青年社はその先頭に立つであろう。