平成16年2月27日
編集委員会


 米国のBSE(いわゆる狂牛病)牛肉問題に関連して、牛丼の販売停止が連日TVや新聞のニュースで取り沙汰された。日本国内において、社会問題にまで発展したその原点には、日本の食料自給率の低さがある。

 食料自給率とは、国内の食料消費について国産でどの程度賄えているかを示す指標であり、品目別自給率、穀物自給率、総合食料自給率の3つの示し方がある。このうち、通常「我が国の食料自給率」として使用されるものは、カロリーベースの食料自給率(供給熱量総合食料自給率)である。これは、最も基礎的な栄養素であるエネルギー(カロリー)に着目し、国民に供給されている食料について、各品目の熱量合計のうち、国産で賄われた割合を示したものである。


現在の食料自給率は40%だ


 因みに平成14年度は、「品目ごとに国民の消費に供給される1日当たりの熱量を足し上げ(2,599kcal)、それらのそれぞれの自給部分を足し上げたもの(1,048kcal)を割る」ことによって求められ、その結果は40%である。これは、主要先進国の中で最低の水準となっている。また、穀物自給率は、世界173カ国・地域のうち128番目となっており、先進国の集まりであるOECD加盟30カ国の中では28番目である。

 ドイツの食料自給率(カロリーベース)が、昭和45年68%・昭和55年76%・平成2年93%・平成13年・99%と右肩上がりであるのに対し、日本では60%・53%・48%・40%と右肩下がりである。フランスでは、平成3年142%を筆頭にコンスタントに100%を超えている。


安易な食料対策では不十分だ


 我が国の食料自給率は、昭和35年・79%、昭和55年・53%というように、年々低下し続けている。その主要因は、長期的には食生活の変化によるもの、我が国は人口に比べ農地が狭く平坦でないといったハンディキャップを有しているため、消費者の食生活の変化に伴ったニーズに十分に対応するのが困難、故に海外の安価な輸入食材に頼らざるを得ない事情がある。短期的には国内生産の減少の影響が甚大で、近年においては、「食」の外部化・サービス化などの食料消費構造の変化等の中で、農業生産が消費者や実需者のニーズに品質、価格等の面で必ずしも十分対応できておらず、生産が減少傾向にあることなどが食料自給率の低下に大きく影響していると考えられている。


安易に国外に頼ることなかれ

 前出の「食」の外部化・サービス化とは、女性の社会進出や単身世帯の増加、高齢化の進展、生活スタイルの多様化等を背景に、家庭内で行われていた調理や食事を家庭外に依存する状況がみられる。これに伴い、食品産業においても、食料消費形態の変化に対応した調理食品や惣菜、弁当といった「中食」の提供や市場の開拓に進展が見られており、これらの変化を総称して、「食」の外部化・サービス化という。牛丼販売停止が我が国において社会問題化した背景には、「食」の外部化・サービス化という今日的問題が大きく関わっているのである。


 我が国は土地が狭く資源にも乏しいという、致命的な問題を抱えている。したがって、日本民族にとっての食料問題とは、実は、存亡・死活問題であり、政府及び関係者にこの実情を世界の先進国並みの水準に改革することを訴えるものである。