平成15年11月27日
総本部編集委員会

 平成15年11月9日に行われた衆議院選挙でもある総選挙が行われた結果、自民党及び民主党の半勝利に終わった。少数野党だった社民党・共産党は大幅に議席を減らし、二つの会派が一緒になっても法案を提出することが出来なくなった。


 このことは、自民党と民主党の主張があまり違わないことから欧米型二大政党の時代を予感させるものである。だが、自民党・民主党の内部を見ると一枚岩ではないことから、再度政界再編がなされることも予想されるものである。こうしたことについて国民は両党の動向を注意深く見守っていくことが大切だ。これらの事態は55年体制の完全な終焉と見るべきであり、日本国国会が新しい時代に入ったことを意味している。こうした中で、国民の最大の関心事はデフレ・スパイラルに陥った日本経済を建て直すことにある。ただ、経済は生物であり、政府の方向性に沿って進むとは限らないものなのだ。加えて、資本の無政府性と世界性は常に恐慌の危険性を孕んでいることから、そう容易なことではない。


 具体的には、竹中経済金融相の規制緩和は破綻する可能性を秘めていることを意味しているのであり、ケインズ経済学の国家介入の可能性も否定出来ないのである。

 いわんや、アメリカ・EUも不況に喘ぎ不況を極めており、中国の一人勝ちの様相を呈しているのが現状である。国民が景気回復と政府に要求するが、以上の理由もあってその実現は容易なことではない。

 こうした中で景気回復の切り札として登場した構造改革も全社会的に浸透せず、むしろいわゆる抵抗勢力に押されがちなのである。


 一方、外交問題ではイラク戦争は米英の思惑通りには進まず、長期戦の様相をきたしている。こうした中で、日本もイラク再興のために貢献しようと努力しているが状況が状況であるためにアメリカへの資金援助に限られており、人的援助については不透明である。

 元に戻れば、今回の衆議院選挙は先に書いたことが全てであるように見えるが、フランス・社民党のミッテランの登場によって極小政党がフランス政権の座に就いたこともあり、政治は「一寸先は闇」と言われることから、何が起きるかは実は予測出来ないのであります。ただ、自民党勝利、民主党躍進という結果が出ただけであり、今後の両党の政治外交路線を私達は厳しく監視しなければならない。

 省みれば、55年体制の崩壊が創造の過程でもある。

 具体的には、その政治外交路線が日本国民と世界諸国に認知されることが創造の結果というほかありません。言い換えれば、このことは日本国民全員に問われていることであり、「批判のための批判」は許されません。つまり、戦後58年経って初めて国民が生活者の論理として国会を見ることが出来ることも可能になった。遠い国会を身近な国会とするための国民性が今問われるとも言えるのだ。


 日本青年社は議員同志連盟を持っていることから、主体的には国政にいかにして参加出来るのかが問われた総選挙だとも言えるのだ。

 かてて加えて、この間中国船による尖閣諸島を中心とした地域に中国は前にも増して取り組んでいる。これは明らかに尖閣諸島に対する中国側のデモンストレーションであり、こうした状況を許す訳には行かない。日本政府も前に比すれば確かな対応をしているが、まだ問題は残っている。特に外務省が軟弱外交で臨んでいることから、小泉首相は運輸省・外務省が一体となって尖閣諸島が日本領であることを明らかにすべきなのだ。

 領土問題は国家の基本の一つであり、喫緊な態度が何としても不可欠なのだ。

この尖閣諸島については、日本青年社が機関紙「青年戦士」や当HPの「領土問題」で取り上げ、灯台の灯を守り続け実効支配しているのであり、政府は中国を気にすることなく断固たる処置をとるべきなのだ。