2003年03月14日
総本部総合管区長 貞方美津夫

 アメリカのイラク攻撃は秒読みだ。ただ、この間のアメリカの採った道は世界帝国崩壊を意味した。確かに日本、オーストラリア、旧東欧諸国の支持を得たものの、フランス、ドイツ、ロシア、中国のしたたかな外交の下、米国・一国・帝国主義の道が険しいことを指し示した。


 米国の国旗である星条旗が街頭に翻る東欧諸国は別にして、米国はイラク・フセイン政権の武装解体に成功した。だが、クゥエートをはじめとするアラブ諸国の賛同を得ることができず、アラブVSイスラエルの図式を結果的につくりだしてしまった。加えて国連での発言力低下を生みだしてしまった。

 ブッシュ米国大統領は世界の悪の三枢軸国としてイラク、イラン、北朝鮮をあげ、この三国を基本的に米国の圧倒的軍事力で、この三国の権力の解体を試みている。日本はイランとは友好関係にあり、イランを除けば確かに他の二国の権力者の独裁は目に余るものがあり、制裁はやむを得ないと考えている。ただし、戦争には世界の合意が必要だ。

 すでに、イラクは国連の合意の下、査察によって殆ど武装解除されている。私達は査察をより強固にすれば、イラクの脅威は半減どころか皆無に至ると考えている。こうした状況下、制裁=戦争間近ということですでに原油価格が高騰し、世界経済に与える影響は計り知れない。米国はオイルショックを一人乗り越え世界に君臨しようとしているならとんでもないことだ。イラクの一般の人々に打撃を与えるだけで、荒廃したイラクをつくることになると思わざるを得ない。査察ですでにイラクは武装解除されている。これを一層続ければ完全に「お手上げ」の状況にることは確実だ。これを制裁=戦争になると難民九十万人が想定されている。日本は国連二十%資金を支払うことになっているので最低三十億円となる。アフガンに二十億円。日本は汗をかかないと批判されるが、こうした資金は日本人がこの不況のなか、汗にまみれた資金であることを日本は主張すべきだ。

 こうした現在、フランス、ドイツ、ロシア、中国の反対を押し切り戦争を挙行するとすれば、イラクの国家の有様は想像できるし、同時に世界経済が新しい恐慌状況を進行させるだけだ、と考えるのは理不尽だろうか。ブッシュ氏の頭脳だけ世界を制覇するとはあまりにも高慢だ、と言わざるを得ない。だからといって「日米安保条約」がある以上、米国がイラク攻撃をすれば賛成しないわけにはいかない。加えて一面の北朝鮮問題があることから賛成のみならず協力する他ない状況が日本にあるのだ。こうした矛盾した状況を克服するためにも、わたしたちは危機管理体制の確立と自主外交が不可欠だと主張する。それは同時に米国と距離を置くことが、現在の日本に求められているということでもあり。つまり「反米」では「対等」を追求することを意味しないからだ。


■軸足を北東アジア・東アジアに!


 米国の対外債務のトップが中国である状況を私たちは重視する。中国を無視して米国に追随すれば良い時代は終わったことをこのことは意味しているとともに、すでに経済界は韓国、中国、ヴェトナム、東ロシアに軸足を置きつつある。小泉ー福田が米国追随のため、日本にとって米国は良きパートナーに映るが、米国にとって日本は良きパートナーなのか、と自問すれば良い。

 私達は「青年戦士」紙上で何度か漢字文化+東ロシアの構想を提起している。

 例えば、学校での数学が世界一位は韓国であり、米国のハーバード大学・マサチューセッツエ科大学の主席はこの十年、大抵が中国人であることを見れば、北東アジアが実は世界の宝庫であることを意味している。この隣国をないがしろにして従属的対米外交に頼ることは明治初頭「浮世絵」が流出したことと似てはいまいか。アメリカのアリゾナの砂漢で宝探しをしても何も発見されないが、韓国、中国は宝の山だ。経済人が、韓国、中国に目を向けるのは当然なことなのだ。

 同時に世界同時不況の中、政治家は経済界の声に聞く耳をもっともつべきである。日本資本主義の安定なくして日本の政治が安定するわけはないのだから。

 この漢字文化圏について読者は一面の北朝鮮の記事と後述の北朝鮮を含めてたアジアの未来を参考にし、地球社会の未来の宝にしたい。

 結論的にいえば、ソ連なき現在、世界は米国の圧倒的軍事力に支配されている。その戦争によって焦土化し“平和”は吹き飛んだ感がある。こんな時代だからこそ日本の自主外交が緊急の課題だ。この憲法改正は何も日本が軍事国家になるためのものではない。アジアの安定を図り、私たちの構想を実現する根拠ともなり米国にNO!をいえる国家でなけれは二十一世紀を生きることはできないからだ。

 最後に北朝鮮問題の核心に触れておく。ジャーナリストをはじめ多くの人は金正日の独裁国家と現定しているが、これは疑わしい。金正日は十年以上前から改革・開放を主張し、先日、中国の光沢民主席とも約束したと伝えられる。また、金日成がなくなってから三年の年月を経て総書記についたことは、北朝鮮が一枚岩でないことを示唆している。金正日VS郡部の抗争の中金正日体制のジグザグは続くべきと見るべきだ。ある時は金正日が勝ち、ある時は軍部が勝つという具体例で極めて北朝鮮問題は緊迫の度合いを強めている。こうした中で、金正日の武器は中国、ロシア、韓国である。一触即発は北朝鮮の自懐にあるといい切っていいくらいだ。だから怖いのだ。ソウル、ピョンヤンが火の海になることは朝鮮半島の経済に一大打撃となることは疑いを入れない。

 今、韓国VS北朝鮮では圧倒的に韓国が勝利するに違いない。その後、韓国、中国、日本が混乱する。それは絶対あってはならないことだ。

 加えて「イラン」間題だ。イランは米・イ交渉でもって国交回復を図ることを日本は米国に強く要求するべきだ。にも拘わらず、悪の枢軸図という。こうなると、北朝鮮を除けば、米国が「石油独占」を狙っているといわれてもいたしかたないといえる。同時にイスラムVS米国の図式は、日本青年社の本年のスローガンに著しく反することになる。

 米国・自重を促したい。