平成14年04月13日
東京管区長 貞方美津夫

 4月12日、金融庁は大手銀行13行に対する「公的資金注入見送り」を決定した。その最大の理由は「自己資本比率は全行が基準を上回った」ということであった。

 私たちは「金融庁は再度、国民を裏切った」と判断し批判する。

 金融庁の中心は旧大蔵省だが、過去の大蔵省の誤りを認めず、この間国民不在の「自己保身」に終始している。

 例えば「3月金融危機説」に対しては、根本的解決を図らず、問題を先送りして「金融危機」はないと、事の重大さについては「他人事」だ。

 言い換えれば「金融庁」は「構造改革」に反対であり、デフレスパイラルに対して何の現実的対策も提起していないのだ。

 すでに日本青年社はこれまでに、「公的資金の注入」が銀行の主観によって便用され、国民経済を立て直すことを置き去りにしてきた。このため、日本経済を支える資本主義社会を根底から改革し、デフレスパイラルを解消するために「公的資金」は何ら使用されないことから、世界の先進国から日本経済の「アルゼンチン化」を危惧されているのだ、と。

 確かにダイエーに対しては「具体的再建策」の下、現在再建を図っている。だが、技術立国日本を支える大田区など優れた中小企業に対して銀行は「冷たい姿勢」を崩さず、「日本再建」を真剣に取り組んでいないのだ。

 これらは「金融庁」に代表される公務員にとっては、民間の辛苦、リストラ等は遠い存在であり、これは公務員の「雇用が保障されている」ことに実は起因しているのだ。

 だから「自己保身」が彼らにとって「自己保身」として受けとめられないのだ。この間日本共産党によって「官僚」のデタナメな政策「人事」「税金の使用」などが採りあげられているが今日の状況でも「他人事」なのだ。

 金融庁は「不良債権」が今回の特別検査で大幅に増大しているにも拘らず「自己資本比率」だけで、日本経済は健在だ、とどうしていえるのか。倒産件数も増えつづけている。

 私たちは「早急な公的資金の注入」をこの間一貫して主張し、この公的資金について「国家管理」を訴えている。

 こうした事態に対して小泉総理はいつまで無責任な態度をつづけるのだろうか。

 私たちは再度強く訴える。

 
 「金融危機の解消と日本再建」のために早急に「公的資金の注入を!」

 「経営危機にあえぐ企業の早急な支援を!」と。

 このままでは「構造改革」も「景気回復」もありえない。



 デフレスパイラルを一国も早く解消し国家的政策を今、提案・実施する時なのだ。