平成14年03月09日
総本部  領土問題対策局
総本部メディア対策委員会


 毎日新聞朝刊(平成14年3月6日付)社会面に「右翼団体魚釣島上陸計画」の見出しで、当団体の名称こそ伏せておりましたが、日本の領土である尖閣諸島があたかも中国領土であるかの如く、また私たちが24年間にわたって取り組んでいる尖閣緒島の魚釣島漁場灯台の保守点検作業が日本の国益に反しているが如き報道記事が掲載されました。

 また、海上保安庁のコメントとして、私たち日本青年社が不審船引き揚げ阻止をもくろむ意図があるかのような作為的な文言がありましたので、直ちに海上保安庁に問い合わせたところ、海上保安庁は毎日新聞社に一切コメントしておらず、逆に毎日新聞社に抗議を申し入れるとのことでした。

 私どもは、3月6日の報道記事に、大変な事実誤認があることと、読者に大きな誤解を与えることは国益に反するとの認識から同年同月7日、午後1時に毎日新聞社を訪問、毎日新聞社の関係者に抗議するとともに下記の公開質問状を提出しました。         

毎日新聞朝刊(平成14年3月6日付)
事実誤認の記事

 

 

公開質問状


 季節の移りは早いもので、春の気配を肌に心地よく感じる侯を迎えた。
貴殿には、毎日新間社という伝統ある言論報道機関の最高責任者としてわが国マスコミ界の健全な発展のためご努力されておられることと拝察する。さて、我々は毎日新聞平成十四年三月六日付朝刊社会面に掲載された「右翼団体魚釣島上陸計画」なる見出しの報道記事は多くの国民に我々日本青年杜と尖閣諸島について事実誤認が生じるものと判断するとともに激しい憤りを禁じえず左記の通り質問もうしあげる。

 我々は、尖閣諸島間題を報道記事として取り上げて戴くことには何ら異存もなく苦言を呈すものでもないが、なに故に団体名称が特定できる者に対してあえて団体名称を伏せるのか、また、その基準は何か、貴殿の明確な回答を頂きたい。

 記事によれば、我々が例年より二ヶ月早く魚釣島に上陸計画とあるが、我々の同島魚釣島漁場灯台の保守点検は定期的に定められているものでなく、四月もあれば、八月もある、状況によっては十二月の渡島もある、然るに貴殿は何故例年の渡島を五月と断定するのか、その理由はどこにあるのか明確な回答を頂きたい。

 貴殿は灯台の使命をご存じであろう。我々が尖閣諸島に灯台を建設した理由は、灯台がもつ使命の重さを痛感したからである。それ故、我々の行動の最大目的は同諸島周辺海域を航行する船舶や同海域で操業する漁船の安全確保にある。同島がわが国の領土である以上、その周辺海域の安全を守るのは我が国の使命ではないか。現に昭和五十六年四月、灯台のメンテナンスのため同島魚釣島へ派遣した隊員は、前年八月に台湾の基隆から神戸へ向かっていたフィリピン船籍の「MAIXINA STAR」号が同島に乗りあげて難破したことを同号の残骸で確認した。その際、同号の乗組員二十三名は我々が建てた宿舎を利用していた。同号は魚釣島を目標に台風を避けて同島に辿り着き乗組員は助かったのである。万一、灯台がなければ同号遭難、乗組員の生命もどうなっていたかわからない。貴殿は、ご存じであろうか。前述の灯台の使命を熟知の上、それでも灯台を守ることが対中関係を損なうものであるか、貴殿の御見解を承りたい。

 貴殿は、尖閣諸島をわが国の領土と認識されているのか、万一、他国の領土との御認識ならば、いずれの国の領土なのか、明確にお答え願いたい。

 貴殿は報道記事に領有権が日本にある尖閣諸島を、あたかも中国の領土であるが如く作為的な記事を掲載しているが、一体何の根拠をもって、我々が尖閣諸島に渡島することを、中国からの反発と結びつけるのか、また外交とは互いの国益のために行なうのであるから、記事にある「反発」があるのは、至極当然のことであり、「反発」されるからやらないのであれば、国際社会において日本が生き残っていくのは不可能である。貴殿は「国際化」は「同化」であると言葉を誤用しているのではないかと断じざるを得ない。よって貴殿の明確な回答を頂きたい。

 記事に海保が「今年に限ってまだ波が高いこの時期に計画するのは、中国側を刺激して不審船引き揚げ阻止をもくろむ意図があるとみられる。背後関係を調べる必要がある」と話していると、あるが、我々が海保に質した限り、そのような事実は一切ないと回答を得ている。然らば、記事に書かれている内容は握造ということになるが貴殿はこの件について如何様にお考えか明確な回答をお願いしたい。
 また、背後関係とは何を意味するのか明確なる回答を頂きたい。

 報道記事には、我々が計画的に北朝鮮のものと思われる不審船引き上げを妨害しているかのような誤解を招く文言があるが、何の証拠に基づいて日本青年社が不審船の引き上げを妨害する必要があるのか、また妨害することによって日本青年社に何の利益が生ずるのか。貴殿の明確な回答を頂きたい。

 平成十四年三月六日付朝刊の記事を読む限り、我が国に領有権のある尖閣諸島があたかも中国領土であるような錯覚を覚えさせるような部分があり、また我々がこの度尖閣諸島魚釣島に上陸することが、不審船を引き揚げることを阻止しているが如き報道であるが、この報道記事は我々の団体を意識的に陥れるものであると断じざるを得ない。この件につき貴殿は如何様にお考えか回答頂きたい。

 貴殿は、平成十四年三月六日付朝刊にて、あたかも我々が不審船引き上げを妨害するかのような誤解を招く記事を掲載したことについて謝罪と訂正記事を即刻掲載して頂きたい。

 なお、我々は貴殿に本公開質問状を呈するのは、単に我々の主張に耳を傾けて頂くことのみを求めるためではない。我々は毎日新聞の報道記事に事実誤認があることを考え合わせ、読者に大きな誤解を与えることを恐れたからであり、当然、我々の声にも耳を傾けて頂けるものと確信しているからである。

     公開質間とする。

   


 

回 答 書

(平成14年3月27日追加)

冠省 貴殿よりの平成十四年三月七目付け公開質問状を拝見させていただきました。弊社代表取締役社長宛ての書面ですが、担当である当職よりお答えいたします。

 さて、弊紙三月六日朝刊掲載の当該記事は「尖閣諸島の魚釣島に日本青年社(記事中では『右翼団体』と表記しています。この点については後述いたします)が例年より2力月早く上陸する計画を立てていることに関し、海上保安庁が『不審船引き揚げ間題で中国側を刺激しかねない』と懸念し、その真意と背景を調査する必要があると話している」旨を報じたものです。

 もとより、弊紙といたしましては、尖閣諸島について日本政府の見解通り、「日本固有の領土」という明確な認識に立って報道を続けているところです。過去の一連の記事をご覧いただければ納得していただけると存じます。この点に関し、「あたかも中国の領土であるような錯覚を覚えさせた」とすれば全く私どもの本意ではありません。

  なお、当該記事中、「海保などによると、団体は現地の天候が安定する5月ごろに魚釣島に上陸することが多かった」とあるのは、過去の魚釣島上陸(海保等の取材により、今回を除き計三十四回と理解しております)のうち五月が七回で最も多く、四、六月が各六回でそれに次ぐことを根拠にしております。もちろん、十二月等の渡航があるのは貴殿のご指摘の通りです。当該記事が「例年より2カ月早い」と記載し、それが断定的に受け取られた点につきましては、誤りとは言えないまでも、より客観的な吟味が必要だったと考えております。

 ご指摘のうち、中国の「反発」等に関する部分は、海上保安庁の認識として記述したもので、記事の末尾にある海保のコメント部分も海保の幹部が取材に対して現実に話している内容です。取林源の秘匿という私どもの取材倫理上、具体的な氏名、職名は明らかにできないことをご理解下さい。ただし、コメントの内容につきましては、説明や趣旨に一部伝わりづらい部分がありました。

 当該記事で日本青年社の団体名を伏せたのは、報道による不利益が及ばないよう取材現場が配慮した結果ですが、尖閣諸島における貴殿らの活動は社会的に広く認識され、弊紙でも過去に取り上げてきたことなどを考え合わせると、実名という選択も可能だったのではないかと思慮しております。

 以上のような次第で、当該記事につきましては表現に関して一部行き届かない部分が存在し、私どもとしてもご指摘を真摯に受け止めるべき点があることは否めません。具体的な事実関係の訂正には応じかねますが、尖閣諸島をめぐる問題に関しましては今回ご指摘いただいた点にも留意し、今後とも適切な報道をしていく所存です。ご理解いただければ深甚です。
                     以上、回答とさせていただきます。草々 


平成十四年三月十五目

毎日新聞東京本社
  社会部統括副部長 河野俊史

日本青年社 領土間題対策局 局長布施光治殿

メデイア対策委員会 委員長鶴賀哲男殿