知っておきたい育て方


平成14年6月13日
日本青年社 群馬県本部 須 賀 和 男

  種類ごとの説明だけではわかりにくいのは、各種類相互の育て方のむずかしさの比較です。果菜類を例にとれぱ、ナスとトマトの作り方のむずかしさは、いったいどのくらい違うか、ということです。個人差のあることはもちろんですが、初心者にとって、栽培に成功するための手数と神経の使い方は、おそらくトマトのはうがナスの2〜3倍はあるでしょう。果菜類でも、サラダ菜はコマツ菜に比べて、2〜3倍以上のむずかしさがあります。このような育て方の難易度が一般に知られていなくて、失敗している例が多いのです。野菜づくりのベテランでも、自分でまいた種が揃ってよく初芽し、すくすくと順調に生育していると、うれしくなって何回も見にいくようになり、手入れにも心がはずみます。この熱心さがまた、生育をよい方向へと仕向けることになるのですが、いったんうまく育たないようになると、どうしても野菜づくりの興味と情熱を失いがちです。ですから、つくる野菜の種類を選ぶときにも、スポ一ツを楽しむときのように、自分の腕に応じて、初級〜中級上級の各コ−スを選びとる必要があります。若い葉を収獲する野菜はもっとも容易、育て方の難易度を大まかに分類して見ると、

「1」種をまいて葉の状態で収穫するもの。特に若い葉の状態で収穫するもの。

「2」つばみや花の段階で収穫するもの。

「3」葉を育てて花をつけさせ、それを実にすろもの。特に、熟した実を利用するもの。


という順にむずかしくなっています。地下部を利用する野菜の難易度は中ぐらいです。種イモを植えつけて育てる野菜は、最初は種イモ自身の養分で育つので、種イモさえ健全ならば、細かい種から育てて地下部を育てる種類よりも、育て方はやさしいとみてよいでしょう。だだし、地下に深く根を伸ばすものほど、土壌の条件に支配されやすくなります。

 箱や鉢づくりの管理のむずかしさ、これらの難易度も、畑を使わない、箱や鉢づくりになると違ってきます。たとえぱ、大根やゴポウのように、根が太く長くなるものを小さな箱で育てるのは物理的にむずかしくなりますし、キャベツのように葉が大きくなるものは、鉢が乾きやすいために、水やりの管理がむずかしくなります。

 畑の湿り気によって種類を選ぷこと。野菜づくりの環境条件を考えるとき、土壌に含まれた水分についての配慮も重要です。地下水の層が浅かったり、庭や畑全休の水はけが悪かったり、土の保水力が強過ぎて多湿になっていることが多いものです。

 もっとも野菜を育てやすい土壌水分の目安は、土を片手で強く握ると固まり、これを指先でつつくと二つ三つに割れる状態だといってよいでしょう。軟らかいダンゴ状になるようでは、かなり多湿過ぎます。多湿に強い種類は、サトイモ、ショウガ、ハス、クワイ、セリ、クレスなど多湿に弱い野菜、サツマイモ、ダイコン、ネギ、トマト、ゴボウ、カポチャ、インゲンマメなど。ぷだん店頭ではあまりお目にかからない珍しい野菜で、家族揃って独特な味が楽しめる種類も、ぜひとも家庭菜園にとり入れて、自分で育てあげてみたいものです。