「尖閣」で試される日本の政治家 竹書房・著者 大下英治


平成24年12月25日

新刊本の発売はじまる!!
今、明らかになる日本青年社の尖閣諸島実効支配活動!
闇に覆い隠された真実、日本領土を守った尖閣諸島魚釣島灯台
国民の領土意識を覚醒することを目的とした良書が出版されました。

《本書のまえがきより》

 執筆にあたって、自民党総裁安倍晋三氏、石原伸晃氏、小池百合子氏、山谷えり子、民主党の長島昭久氏、平野博文氏、原口一博氏、みんなの党の渡辺善美氏、江田憲司氏、東京都副知事の猪瀬直樹氏、東京荒川区議会議員の小坂英二氏、日本語学校校長の荒木幹光氏、元自由民主党衆議院議員の森田一氏、元小泉内閣秘書官の飯島勲氏、チャイニーズドラゴン新聞主幹の孔健氏、日本青年社の幹部の方々、日中関係に深い関わりのある有効団体のA氏、そのほか名前を明かすことのできない多くの関係者の取材協力を得ました。(五十音順)



「まえがき」

 尖閣諸島を東京都が購入する、と石原慎太郎がぶちあげたことにより、尖閣問題に火が点いた。

 中国では、中国のことを「シナ」と呼びつづける「反中国派」の石原慎太郎を「石原害太郎」、あるいは「石原災太郎」とさえ呼ぶメディアすらある。

 野田政権は、もし石原東京都知事の狙いどおりに尖閣諸島を購入させると、日中関係がトンデモナイことになる、と判断し、国が購入してしまった。

 わたしはそのとき、中国のトップクラスの幹部と前もって中国から見てモンダイの人物とされている石原の率いる都より、国が購入したほうが評価できるのかと水面下で話し合ったのか、と思っていた。が、まったくそういうことはなかったという。野田総理とまわりの担当者が、勝手に思い込んでの決断だったという。

 野田総理は、平成二十四年九月九日、胡錦濤国家主席と、ロシアのウラジオストクでおこなわれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)際に、立ち話をした。

 胡主席は、このとき野田総理に尖閣諸島の国有化の撤回を求めた。

「日本側による島の購入は不法、無効であり中国側は固く反対する」

 だが、野田総理は、なんと、その二日後に国有化を閣議決定した。胡錦濤主席のメンツは、丸つぶれであった。

 わたしも、中国人の友人は結構いるが、彼らは「メンツ」を非常に重んじる。同じ国が購入を決定をするにしても、もう少し知恵の使いかたはなかったのか。

 ところが、政府の動きによって、皮肉なことに、石原慎太郎をふたたび永田町にカムバックさせることになってしまった。

 石原は、太陽の党を結成し、さらに橋下徹大阪市長の日本維新の会と合流、日本維新の会の代表に就任した。

 十二月四日公示、十二月十六日投開票の総選挙に突入した。

 石原・橋下の合意文書では、外交問題として「尖閣は、中国に国際司法裁判所への提訴を促す。提訴されれば、応訴する」と書いている。橋下の考えが反映されたものであろうが、もし、日本維新の会との合流がなく、太陽の党のままであったら、石原色が強く、より過激なものになっていたろう。

 いっぽう、安倍晋三自民党総裁は、尖閣については、わたしにこう語った。

「要するに、政権がどういう対応を取るかの問題である。彼らが尖閣を取ることはできないとの国家意思を、明確に示すことが必要だ」

 そのためには、まず日米同盟の強化が必要だという。尖閣列島周辺で「上陸阻止」演習を共同で実施するのもいいかもしれない。尖閣は、日本の島である。わたしたち自身がこの島を守る。その決意を示さなければならない。具体的には島に政府の職員を常置することだろう。水面下での交渉でも、こちらの意思を先方に伝える必要があるという。

 これらの作業は、いずれも民主党には不可能。自民党が政権を奪還しない限り、事態は進展しない。何しろ、同盟国である日米間の信頼回復は急務。そのためにも、普天間飛行場の移設問題を早期に解決しなければならないという。

 今回の総選挙で、第一党になると見られている安倍自民党が、公明党と合わせて過半数の二四一議席を獲得できなければ、民主党と組むか、あるいは日本維新の会と組むかの選択を迫られる。

 そのとき、安倍は、日本維新と組む可能性すらある。こととしだいによると、石原を総理に担ぐことすら、〇・一%はありうる。

 そこまでのことは起こらないとしても、日本維新の会と組めば、中国に対し、尖閣問題ではより強行な方向に向かうであろう。

 一方で、中国の尖閣問題での今後の動きはどうなるか。

 習近平国家主席は、就任会見で新体制の目標が「偉大な中華民族の復興」にあると強調した。国内矛盾を外に転嫁して対外膨張を加速する懸念が一段と高まるっている。

 日本との尖閣諸島をめぐる対立では、強硬政策を緩める可能性は低い。党関係者によると、九月以降、外交政策の決定権は、胡主席から習主席に移譲され、尖閣問題に対応する党内の専門チームの責任者も務めている。同月のパネッタ米国防長官との会談でも「日本のたくらみを絶対に許してはならない」と、当時の政治局常務委員9人の中で最も強い調子で対日批判を展開した。

 権力基盤が固まっていない段階では、軍内やネット上に広がる強硬意見の影響を受けやすくなる、と指摘する関係者も少なくない。

 米国に対しても揺さぶりを強めていくとみられる。習主席は、今年二月の訪米時の演説でオバマ政権の「アジア回帰」政策について「核心的利益が脅かされれば苦境に陥る」と強調した。尖閣や南シナ海の問題への介入を強く牽制している。

 日中間の尖閣問題は、いっそう対立を深めていくであろう。日本として毅然とした態度を貫きながら、いかにして、中国と渡り合っていくのか。

 日本の政治家たちの手腕が問われている。

「外交の失敗は、一国を滅ぼす」といわれている。この本では、与野党の政治家たちの尖閣問題へのこれまでの動きと、今後の戦略について迫った。

 

『「尖閣」で試される日本の政治家』 (新書版竹書房・著者 大下英治)



発売日/2012年12月28日(金)
定価/924円(税込み)
内容/日中間の衝突は石原慎太郎東京都知事の尖閣購入宣言から始まった。

下記サイトなどで書籍を購入可能ですのでぜひ一読ください。

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