抗 議 文

「これでいいのか、歳出・歳入改革」
「許せない国会議員の特権待遇・国会議員は自らを律せよ」


内閣総理大臣
小 泉 純 一 郎 殿

日本青年社総本部
   政治倫理監視委員会
東京都港区六本木三―三―十八

 平成十三年(二〇〇一年)、国民からの圧倒的な人気と期待を担って日本国総理大臣に着任した貴殿は、小泉構造改革の総決算として国家財政の危機を打開するための歳入・歳出一体改革案を政府・与党の実務者協議会で協議させているが、我々はこの改革案に断固抗議申し上げる。何故ならばこの改革案は、実務者がどれほどの研鑽を重ねて取りまとめたものかは存ぜぬが、歳出、歳入案は国民生活に更なる負担を強いるものであり、到底賢明な改革案とは思えない。また国家財政を黒字化する歳入としての増税案も最初から決まっているものを如何にも遠まわりするかのように腰が引けていることも、来年の参院選を控えた参院からの抵抗をうけていることを見れば一目瞭然である。

 一言断っておくが、我々は何が何でも増税に反対するのではない。国家財政の危機を救うために国民が税金を納めることは当然の義務であるからだ。だがしかし、何故政府は国家財政を黒字にするために、衆参両国会議員や上級公務員に許されている浮世離れした破格の待遇を見直さないのか。貴殿には「釈迦に説法」と存ずるが、我々が言うところの格別な待遇とは、正に国民生活からかけ離れた国会議員の既得権益となっている議員宿舎の家賃を始めとする諸々の特権待遇である。この国会議員に与えられている既得権益については、最近、現職の国会議員が、人気取り宜しくテレビ等で得意げに暴露していることから、今や大多数の国民の怒りとなっている。わが国には昔から「隗より始めよ」という諺があるように、政治家が選挙によって選ばれた「国民の奉仕者」であるならば、国家財政の赤字を解消するために、まず「自らを律せよ」と言明する。「自らを律せよ」とは、衆参の国会議員や上級公務員に与えられている傲慢な常識はずれの破格の待遇と無駄な浪費を即刻廃止すべきであると言うことである。

 附言すれば、七月三日に公開された五八七人の衆参国会議員の年間収入報告は、衆議員で二、五〇五万円、参議員が二、三二七万円、一人平均二、四二七万円だという。この金額は現実には公表しなければならない国会議員の歳費であり、一人あたり年間二千四百万円有余が支払われているばかりでなく、この歳費以外に、非公開が許されている「文書通信交通滞在費」が百万円、他に立法事務費、特別交通費、公設秘書の給料等を含めると、年間五〇〇億円以上の税金が使われていることが明らかである。国会議員が使用する公用車も衆参両院をあわせて約二百六十台に運転手が二百五十人もいるという。この車両代だけでも六億円の歳出があり、毎年の車の購入代金と運転手の人件費は年間十数億円がかかっているのではないのか。これ以外に海外視察費用が一人当たり百七十~八十万円、更には国家機密費から海外視察における「小遣い」まで支払われている。

 就中、東京二十三区内に設置してある議員宿舎はどうなのか、現在は「赤坂」「九段」「青山」「高輪」に衆議院宿舎があり、「麹町」清水谷」に参議員宿舎が設置されているが、その内の「高輪」「青山」の宿舎は政府資産圧縮と称して議員宿舎を廃止して売却を前提にして財務省に返還するとのことだが、その代替に、民間企業の森ビルが赤坂に最高級なマンションなみの議員宿舎が建設している始末である。貴殿らは何故にしてこのような議員宿舎が必要なのか、それだけではない。何れの宿舎も東京の一等地であり、この宿舎は民間人が借りるとするならば、一ヶ月何十万円も払わなければならない豪華なマンションなのであるが、月に払う家賃は何れも七万円以下であるばかりでなく、現実には相当数のムダな空き部屋が存在している事実がある。また毎朝毎晩、この豪華宿舎に横付けされる議員専用の送迎バスは殆どが空席のまま運行されているのではないのか。

 我々は、国家財政の赤字を黒字化するために全ての負担を増税の名の下に国民に痛みを与えることなく、貴殿らの足元から歳出削減することを目的にした「骨太の方針」を示していただきたい。この「骨太の方針」に衆参両議院の特権待遇が削減されたなら、国会議員自身も国民の痛みを肌で感じることができることから、今までの日和見の政治家から、人の痛みを知る「骨太の政治家」に大きく変わることができるはずである。

 貴殿には、是非「我々の抗議の声」を「国民の怒りの声」と真摯の受け止めてわが国の国家財政再建に臨むことを小泉財政改革の総決算とされるように抗議申し上げる。

 なお本抗議文はホームページで公開することを申し伝える。

 右、抗議文とする。

平成十八年七月四日