抗 議 文

 貴殿はIT産業界を代表する御仁であるが、先般、他社の株式公開株買付けによって、一躍著名人の仲間入りを果たしたばかりでなく、この度の総選挙では、自民党の援護射撃を受けた刺客候補者の一人として、活躍されたこは記憶の新しいところであるが、視聴率向上のためなら恥も外聞もない覗き見主義で知られるメディアは、得意の低俗番組、ワイドショーで貴殿の行動を面白おかしく報道したことによって、国民の中には、外国の金融機関から金を借りてまで、わが国の社会システムを破壊するような「マネーゲーム」に走る貴殿を、時代のヒーローの如き錯覚を覚えた者があったことは否めない。然しながら、戦後六〇年を機に、戦後日本の誤った歴史認識を糾し、日本国再興を訴える我々は、貴殿の「すべてが金」と言う経営姿勢と、総選挙における無責任な言動は断じて看過することはできない。

 もし貴殿が今なお、国民から好感を得ている経営者だと自負しているのであれば、それは大きな誤算と言えるだろう。何故ならば、貴殿が己の欲望を満たすために用いる経営戦略は、国家国益を顧みず、己さえ良ければいいという拝金主義を象徴するものであり、現今の日本が一番改善すべきでところである。「金で人の心は動く」と公言して憚らず、「マネーさえあれば何でもできる」と言う守銭奴のような貴殿の経営姿勢には、本来の日本人の心に宿る礼節も謙虚さも一切見えてこない。また、この度の総選挙の折の貴殿の言動にも、国政に携わろうとする候補者としての姿は見えなかった。いわゆる貴殿には政治家としての資質より、全てを「金があれば何でもできる」と言う浅ましい性格が随所に露呈されただけであり、地域社会と国家に貢献する姿勢や人の心に訴える温かさは垣間見えず、ひたすら自己顕示欲をあらわにした言動に終始していたということだ。

 また、貴殿の株式公開株買付けも然りである。もし貴殿が正道を以って行う企業統合ならば、例えその目的が達せられようと達せられまいと、国民は貴殿が巨像に戦いを挑んだ勇士として賞賛し、立身出世の人物と最大の評価をするだろうが、貴殿は己の欲望を満たさんがために、外資を借り入れてまで株式公開株を買い付けて企業統合を果たさんとしたのであり、そこには何の生産性もなく産業効果も生まれず、日本的資本主義没落に向けての「マネーゲーム」、いわゆるギャンブルに走ったのではないのか。言うなれば貴殿は己の欲望のために、貴殿と相対する企業に長年務める社員やその家族、またその関係者である善良なる人々を、精神的苦痛を追い込んだばかりでなく、先人が長年に亘って築き上げてきた日本の社会システムを破壊する暴挙に走ったのである。更には、貴殿の言動と行動が、どれほど次代を担う青少年や社会環境に悪影響を及ぼしたか分かっているのであろうか。過剰な外資導入や外国企業の参入は、わが国の経済基盤を揺るがし、社会環境を著しく脅かすものである。一つ間違えれば、海外への日本売りという最悪の事態を引き起こす原因になることは間違いない。仮にそのような状態になれば貴殿一人では到底その責任は追いきれまい。

 それだけではない、すべて「マネー」の一言で物事を推し進めようとする貴殿の経営姿勢は、正に日本の未来に危機感を抱かせるだけでなく、国家存亡の危機すら想像させるに等しいと断言しても決して過言ではあるまい。何故ならば、資源のないわが国が、今日の経済先進国に成長した根底には、日本国民が質素倹約をモットーに、優秀な技術と勤勉を持って、資源の輸入、生産、輸出を基幹産業としてきたことが経済発展の源ではないのか。現今はそのような日本人の気概が失われてしまったことから、ニートと言われるような誠に情けない無気力な若者が増加しているようだが、貴殿はこのようなわが国の未来に不安を抱かざるを得ない社会環境に、更なる拍車をかけているのである。いわゆる国民が国民としての義務を果たさず、個の権利だけを主張する歪んだ戦後民主主義に更なる拍車をかけているのである。

 依って貴殿は、己の行動と言動が如何に国家社会に悪影響を及ぼし、社会環境を破壊する元凶になっているかを胸に手をあてて良く考え、今後再び国家国民に不利益になるような経営戦略を用いての企業統合は慎み国民社会の秩序を破壊することがなきよう厳重に抗議申し上げる。

平成十七年十二月 ニ日

日本青年社        
                     幹 事 長 鎌田 泰弘
                     行動隊長 加藤 順一
                     本 部 長 塚田 真道
                       情宣局長 亀田 晋司


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